バクハー（Bac Ha）

バクハーは、中国国境の町ラオカイを挟んで、サパと正反対の位置にある。

ラオカイを流れている川は、ハノイへ通じる紅河（ホンがわ）である。

私は、初めての訪問。サパが土曜主体のマーケットなら、バクハーは日曜マーケット。サパと同じく、２０キロや３０キロ離れた村から、物を売りに来るので、前の日に出たり、早朝に出たりするらしい。

ここは、花モン族がいてやたらと雰囲気が明るい。日用雑貨、肉、いろいろなものが売られている。水牛も馬も、その市が立つ。

市は物をかうだけではない、社交の場だ。特に若いご夫婦は、そこで主人が友人と話をし、酒を酌み交わすことに、嬉しさを感じるという。それが、主婦の喜びになるというのだ。

市場を回っていると、われわれの運転手さんの飯の席に出くわした。そこで、いきなり百年の知己のごとく、ぐい飲みが回ってきた。一気に飲み干すと、拍手が私に送られてきた。日曜日だ、何で飲まないか・・と。

外務省のタインさんが友人で、モン族の頭領（と言っていいのか）のリー・セオ・ホーさんの家に連れて行ってくれた。独特の竹の楽器をふきながら、歓迎の踊りを披露してくれた。

はち切れんばかりの声の大きさは、６５歳を感じさせない。いや、年を取らないと若くなれないのだ。でも、ホーさんの家には、３つの棺が用意されていた。驚いた。昼飯を済ませて行ったのに、昼食を出してくれ、心臓が焼けるような地酒で歓待してくれた。人が来てくれることに、嬉しさを素直に表す。と、その席にいたホーさんの息子は、さっき私が酒を飲み干した席にいた人ではないか。世間は狭い。

そんなこんなのバクハーの興趣の旅。下手な写真で、そういう雰囲気が伝わるかどうか。